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裂肛(切れ痔)

切れ痔の治療の基本は便通の改善です。

 良い便にすること:初めは少し柔らかめの便(ブリストルスケール4~5)にして、痛みや出血がなくなってきたら良い便(スケール4)を目指します。 
 痛みや出血のある間は、注入軟膏を夜に肛門内に入れておくと、翌朝の排便時の痛みが和らぎ、切れ痔部分が保護され更に便がスルッーと出やすくなります。痛みも出血もなくなれば注入軟膏は不要です。   
 切れ痔で苦しむ方の多くは長い歴史をもっています。良くなったり悪くなったりを繰り返しています。初診で30日ほど便の薬(酸化マグネシウム)を処方すると、多くの方は痛みも出血もなくなります。ここで治ったと考えないほうが良いです。切れ痔が修復された所はもろく、一度硬い便が出ただけですぐに裂けます。半年ほど痛みも出血もない排便が続けば、伸展性のある上皮となっていきます。
 良い便が毎日出て調子のよい状態が続いていると、つい薬を飲み忘れることがあります。飲み忘れると3日位後に便が硬くなり、硬い便で切れるとほぼ振り出しに戻ると考えてください。油断大敵、切れ痔は手ごわいと認識してください。
 切れ痔に対して良い便にする治療は、痛みや出血を回避するだけではなく、手術治療を回避するための治療です。
 当院ではH29年9月からH30年8月までの1年間で、裂肛患者総数976人(内新規裂肛患者262人)の約90%に便秘治療を行った結果、手術治療になった方は3人だけでした。
 手術は肛門狭窄を伴った方に、肛門狭窄形成術を行っています。